瓢鯰亭日乗

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彼岸花の歌とキリシタン追放

 彼岸花の花も終わり、今は小さな葉が沢山出てきている。今年花の咲かなかった鉢にも無事に葉が出てきた。彼岸花の別名「ハミズハナミズ」のとおりである。冬の間しっかり日に当てておこうと思う。
 さて、曼珠沙華と言えば山口百恵と言ったのだが、もう一つ頭の中でリフレインを繰り返しているのが、「赤い花なら曼珠沙華、阿蘭陀屋敷に雨が降る」という歌である。調べてみると昭和13年の長崎物語という歌で、徳川幕府の鎖国令により、1639年、14才でインドネシアのジャカルタに追放された「お春」という混血の少女を歌った歌らしい。



 1714年西川如見と言う人の記した「長崎夜話草」に「ジャガタラ文」という切々たる故郷を慕う美文の手紙が紹介されており、この話が元になっている。
 その後の研究によりこの「ジャガタラお春」という人物が実在したことは証明され、さらにジヤカルタの公文書館の資料をジャカルタ在住だった女性が調査することにより、その生涯が見えてきた。
 <参考:白石広子著 じゃがたらお春の消息 平成13年発行>

 意外にも、その暮らしは豊で積極的なものであり、当時の海外へ雄飛した日本人の一人として、ジャカルタを舞台に幸せな結婚をし、富をたくわえ、人生を全うしたらしい。気の毒なお春のイメージは、日本人独特の日本型「中華思想」のせいで、ジャガタラ文も西川如見の創作ということのようだ。
 長崎物語の歌も、戦前の「からゆきさん」の悲しいイメージと、女は可憐で慎ましくという思想に貫かれている。しかし、作者の意図はジャガタラお春の形を借りて、当時の海外への人身売買の不当さに目を向けさせようとしたのかも知れない。
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