日野春駅の給水塔

 青春18切符の最後の一枚は、いつも中央線の旅になる。日帰りで一寸遠いところ、自然のあるところと思うと、自ずから中央線ということになる。もちろん私の家から最も手近な路線と言うこともあるが、東京からすぐ山に入り、野を越え山を越え、町を越えて、また山を越える。中央線には短くても列車の旅を味わう感覚があるのだ。
 A photo of the day
日野春駅の二つの給水タンク
  LumixG1 zoom37mm f/7.1 1/160s iso100
 写真は、日野春駅の給水塔である。蒸気機関車に水を補給する施設で、使われなくなって久しい遺物だ。蒸気機関車は石炭を焚いて走ると思われているが、本当の原動力は水だ。熱を加えられて水が蒸気に変わる、その時に発生する圧力が蒸気機関の動力だから、水を大量に消費するし石炭より水が無くては走れない。
 標高300mの甲府盆地を出た蒸気機関車は、諏訪に向かって、標高1000mの富士見峠を目指すのだが、その長い登りの中間地点にあるのが日野春駅だ。蒸気機関車はここで水を補給して、最後の峠に挑む。
 だからこの給水施設は、蒸気機関車の命の綱である。水が無くなったら自分の熱で大切なお釜が溶けてしまう。メルトダウンである。(^o^)わははは・・・

 さて、この上がコンクリートで下がレンガの給水塔は、中央線の開業当時に出来たものだが、その後にもう一つ桶のような給水タンクが、鉄骨櫓の上に乗っている。職員の生活用水用と言うことだが、この手作り感が何とも言えない味を出している。(^o^)v

 さて、この桶のようなの給水塔を見ると、思い出してしまうのが、中学生ぐらいのころに見ていたアメリカのホームドラマだ。東京オリンピックの頃までは、ホームドラマといえばアメリカ物の吹き替えであった。陽気で人が良くて、早とちりであわて者のアメリカ人の繰り広げる「ささやかなハッピーエンド」物語たちである。
 そのなかの、「ペチコート・ジャンクション」は、小さな鉄道駅の小ホテルを舞台に、魅力的な3人娘を狂言回しにしたドラマであった。話の筋など憶えていないが、ドラマのオープニングで、駅に近づく蒸気機関車がロングショットで写った後、駅の木製の給水塔がアップになると、女性の下着(ペチコート)が桶の縁に引っかけてある。次の瞬間、樽から手が出てそれを取り込む。(^o^)わははは・・・、つまり彼女たちが行水をしていたというのが、オープニングのタイトルバック映像なのだ。

 「ジャンクション」とは接続駅のことだ。そこに乗り降りする人が居る訳ではないが、運転の都合上設けられている駅と言うところである。日野春駅は駅前は釜無川を見下ろす崖で、施設は何もないから接続駅なのであろう。
 上越線の土合や土樽も接続駅で以前はホームもなかったが、ここには当初からちゃんとした駅舎がある。
 しかし、この給水塔の前には、実は線路がない。手前に写っているホームが3番線で、その向こう側には線路がないのだ。もちろんかっては線路があったのだが、電化に伴い必要が無くなって撤去されてしまった。
 私の乗っている電車は2番線に停車して、暫く時間を過ごすので、ホームへ降りて、甲斐駒ヶ岳を眺め、しばし腰を伸ばす。というのは、この駅で下り特急を1番線を使用して先に行かせるために、普通列車がいつものんびりする駅なのだ。

 駅前の崖下にある釜無川というのは、実は大昔は諏訪湖の水が、流れ下ってきて、甲府を経て富士川となって、流れていた名残だという話がある。その頃の諏訪湖は今の何倍もある大きな「古代諏訪の海」と呼ばれる湖水だったらしい。
 多分、八ヶ岳の巨大崩壊によって、富士見峠が高くなったか、あるいは逆にフォッサマグナを震源とする巨大地震で諏訪湖北端の天竜川側が崩れたかして、諏訪湖はその流れ出し口をかえたらしいのだ。そんなことが有ったのかと思うと、偉そうに見えても人間のやってることはまだまだ小さい。(^o^)わははは・・・
 そして、何万年という年月を考えたら、人間の手に負えないことが現実に起こるのは、当然なのである。 
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