インフレどころか世界はこれからデフレで蘇る@読書

インフレどころか世界はこれからデフレで蘇るインフレどころか世界はこれからデフレで蘇る
中原圭介著
PHP新書 (2014/1/16) 211page
760円税別

 ピケティ教授や水野和夫先生の本を読んでいくと、資本主義が歴史的な曲がり角に居ること、アベノミクスの安倍・黒田体制に代表されるインフレターゲットの考え方が、いかに時代遅れで硬直した見方なのかを痛感する。しかし、これらの本ではあまりに大局過ぎて、日常の事象を理解するのは難しい。これを、もう少し卑近な所で論じているのが中原圭介氏である。自己財産の保全、あわよくば一儲けを企んで、本書を手に取った。(図書館より借り出し)(^^ゞ

 中原氏の視点は、「経済の発展とは民衆が豊かになる事」で統一されているので、世にあふれる経済評論家の諸説の中では、我々にも比較的判断がしやすい。
 前述の大先生たちと違うのは、過去からの分析だけではなくて、「これから何が発展して、何が儲かるか」という視点が強いので、ちょっと抜け駆けて、先を見るワクワク感がある。(^o^)わははは…

 この本を読んで思うのは、経済は生き物であるという事だ。常に変化し、繰り返しのように見えて、革命的な変化を続けている。大事なのは今を見て考えることであって、過去の再現を企んでも意味はない。これから起こる事を追及してこそ、新しい時代の勝者になれるのであって、その新しい変化を追いながら、国民の生活水準を引き上げてゆくことが、経世済民の技術なのだと思う。

 日本のインフレターゲット論者は、海外の経済政策を盲信しているが、日本は独自の経済基盤に立っており、アメリカやイギリスとは違う。日本の置かれた経済的事情を理解し、特質を生かしてこそ、日本経済の発展があるのだろう。日本の不幸は、自分の頭で考えている人間がまだ少ないことである。デフレ経済下の経済政策で世界最先端の経験をしたことを、総括し生かすことができる人が居ないのは残念なことだ。

 著者は、インフレ・デフレと好不況は関係が無いと言う経済データーを示し、デフレでも経済は発展するし、むしろ国民生活は充実すると言う。過去の歴史を見ても、よいデフレは存在するし、悪いデフレでも、悪いインフレよりずっとましだと言う。 しかし、いま安倍政権が狙っているインフレ政策は、現在すでに大企業となっている既存勢力が、安泰に国際社会で稼げるように、あれこれ対策をするものであって、円安も、株価を上げるのも、労働法制を変えるのも、かっての輸出立国への回帰をねらったものだろう。これは後ろ向きの政策であり、かつ国民の生活水準を犠牲にするものだ。

 最後に本の表題だが、世界のエネルギー事情が変わりつつあるので、20世紀のインフレ経済が近々終了して、21世紀はデフレ経済が当たり前の時代になるのではないか、という著者の今後の見方を示したものである。
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